北見山地の主峰天塩岳(1557.6m)を源とする天塩川は流域面積km2、全長256kmの流程をもつ北海道第二の大河である。中流部から下流部にかけては蛇行が多く、それが切り離されて半月湖として残っている所も少なくない。
最上流部の岩尾内ダムや中流に堤がある事を除けば、本流にダムはないから、長流の中ではもっとも自然河川の趣が残されている一つであろう。もちろん堤防が整備されているところもあるが、山や崖に沿っている箇所も少なくない。宗谷本線の車窓からも、そして平行して走る国道からもさまざまな姿の天塩川の自然が楽しめる。
50年ほど前まで自然状態がよく保たれていたからチョウザメの生息情報があることでも知られていた。今でも約200種類の鳥類が観察され、ウダイ、ハナカジカをはじめとして、上流部にはイワナ、ヤマベ、絶滅危惧種のイトウの生息も確認されている。北海道のもっとも北を流れるため、低標域でも高山性の植物が生息する。
天塩川の上流部は森林に覆われたところが多い。中流部では水田が広がるが、その北限は現在、美深町あたりにある。音威子府から下流は畑作地帯だが、天塩中川付近では北海道大学の天塩ならびに中川地方研究林がある。このあたりになると天塩山地もかなり低くなって、せいぜい数百メートルの低山になる。一方では比較的緩やかで山頂が平らなところにはしばしば高層湿原が発達する。
名寄市から北東に入ったところにはピヤシリ湿原、松原湿原がなどがあり、さらに下流の幌延町には中峰の平湿原がある。下流部に近づくと低地にも泥炭地が多くなる。雄信内(おのっぷない)、幌延(ほろのべ)あたりは天塩川の蛇行部分が切り離されて出来た半月湖が多いが、その周囲のほとんどはかつて湿原であった。河口は天塩町で、ここで天塩川は北側から長く延びてきている海岸砂丘に遮られ、大きく南に向きを変えて日本海に流れ込む。その北にはサロベツ湿原が広がる。この湿原もかつて天塩川が作り上げたものだ。河口付近でそのサロベツ湿原を流れてきたサロベツ川が合流する。
河口に近い湿地には天塩松の名で呼ばれる湿地生のアカエゾマツ林があり、これは、かつて国外でもグランドピアノの響板、高級なヨットやモーターボートの甲板材として重用された。天塩川は、中流域の風連町から人口構築物がなく、河口までノンストップで川下りができる。その区間は日本一長い157kmとあって、ロングツーリングを楽しむカヌー愛好家に人気。流域に点在するカヌー工房でマイカヌーを作り、大河に漕ぎ出せば、きらめく大自然を体験できる。 |